「シリーズ介護福祉士試験」と銘打って、「介護福祉士」という資格がどんな資格なのか、筆記試験と実技試験の概要と試験対策について解説してきました。
実はこの資格、ここ数年受験者数が順調に減っています。
「介護を必要とする方はこれから増えていく一方で、プロ…あくまで資格上のプロフェッショナルとしての介護の担い手が増えない」というのは問題かなと思いますし、無資格でも働けるとはいえ、資格取得を目指す人が減っているというのが「なぜ?」と疑問に感じまして、まとめてみました。
こちらを解説した上で、できる限り、受験や再受験を後押ししてみます。
現状
ここ数年の受験者数の変化と、そこから読み取れること
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2015年度 | 152,573 | 88,300 | 57.9% |
2016年度 | 76,323 | 55,031 | 72.1% |
2017年度 | 92,654 | 65,574 | 70.8% |
2018年度 | 94,610 | 69,736 | 73.7% |
2019年度 | 84,032 | 58,745 | 69.9% |
2020年度 | 84,483 | 59,975 | 71% |
2015年度から2016年度で、かなり受験者数が減っていますが、これはちょうど制度改正があった年度で、2016年度からは「実務者研修」の受講が必須となりました。
「実務者研修」というのは、「介護福祉士実務者研修」という名前で、文字通り介護福祉士の前段階として、資質向上の目的で新設された講座で、450時間のカリキュラムを修了する必要があります。
費用なんですが、調べてみた感じだと、結構キャンペーンとか打ってるみたいで笑
大体10万円くらいのところが多いみたいです。
その「実務者研修」を受けずに受験できることの、駆け込み需要も多少はあったかもしれませんが、以降もなかなか増えてないようです。
「実務者研修」の受講が、少なからずハードルになっていそうですね。
アンケートから読み取れること
次に、2018年に実施されたアンケートから抜粋します。
介護福祉士の資格をまだ持っていない職員(全体の48.5%)のうち、「受験を目指したが途中で見送ったことがある」と答えた人が46.3%、「実務者研修の受講を諦めた理由」として、「実務者研修の受講費用が負担だった」が52.7%で最多。以下、「実務者研修の通学による講義・演習が負担だった」が44.9%、「実務者研修の研修時間が長い」が44.0%。
国の貸付制度など公的な支援の仕組みを知らない人が全体の76.4%。
グラフにすると、こんな感じになります。
「費用負担」を理由に挙げる人が多い一方で、もったいないと思うのが、「国の貸付制度など公的な支援の仕組みを知らない人」が全体の76.4%になっています。
このアンケートから状況は改善しているとは思いますが、貸付制度を周知するだけで、そこそこ受験数は伸びるのでは?と思いますので、周知していきます!
貸付金制度
「貸付金」といっても、他のいろんな資格を取るときのローンみたいなではなく「国の貸付制度」が存在します。
いくつかあるのですが、「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」というものですと、介護福祉士試験を受験するため実務者研修を受講する人に対して、受講費用を無利子で貸付してくれます。
さらに、条件を満たせば返金不要となります。
その条件というのが、下記の通りです。
- 介護福祉士試験に合格すること
- 合格後、介護職として2年以上勤続すること
条件を満たせなかった場合は、返済が必要となりますが、「貸付」については無利子ですので、利用したからといって損をすることはないです。
「試験に合格できるか…」は人によっては不安かもしれませんが、「介護職として2年勤務する」というのは、そこまでハードル高いものではないと思います。
それ以外のハードル
お金の問題が多少解決したとして、時間の負担感というのは、特に制度改正前を知っている方なら、なおさら感じる事だと思います。
ぶっちゃけ、介護福祉士の資格がなくても介護の仕事はできますし、
実務者研修で時間を取られてまで必要なのか?
というのが、お金以上のハードルになっているんじゃないか、と僕は感じています。
僕の周りでは、
過去の制度下で何度か落ちてしまって、ここ数年は受験していない
という人が目立ったので、失礼を承知で理由を聞いてみたんですけども、
貸付金の事とかを説明しても、再受験する見込みがある、と答えた人はいませんでした笑
理由はそれぞれだったのですが、総じて
自分には必要がない
といった感じでした。
…みなさんの周りはいかがでしょうか。
危機的なのは僕の周りだけでしょうか…?
「他の業界での競争に疲れて介護の仕事に移った」という人もいますし、「介護福祉士の数を増やそう!」「再受験を促そう!」っていうのは相当難題かもしれません笑
それでも勧めてみる
「より良い介護世界のために!」介護福祉士の受験と再受験をオススメしてみます。
給与と転職、再就職に有利
【介護福祉士試験①】介護福祉士って?取得する方法やメリットで詳しく解説していますが、給与と転職、そして再就職に有利です。
単純に給与額が無資格の人よりも多い傾向にあります。
転職の際にも有利に働くでしょう。
普通に勉強になる
利用者さんの対応がうまくいかなくて困った経験、ありませんか?
無い人はいないと思いますが、勉強する中でヒントを見つけることはあると思います。
「仕事としての介護」は、なかなか「正解」が見つかりづらいですが、試験問題を解けば「不正解」の対応はわかります笑
周囲からの見る目が変わるかもしれません
これは本心から思う事なんですが、難しいケースに真剣に向き合うと、人間としてめちゃめちゃ成長すると思います。
僕もそういったケースにたくさんチャレンジさせてもらったんですが、おかげで成長できたと思いますし、同僚からの信頼を得られて働きやすくなりました。
資格を持っていることで、そういうチャンスが巡ってきやすくなるかもしれません。
自信がつくかもしれません
「3年働いて、資格とった」って、なんだかんだで嬉しいものだと思います。
人によっては、資格自体より、そのための努力の方が大事なものになるかもしれません。
仲間できるかもしれません
前段階の実務者研修は450時間もカリキュラムがありますから、スクーリングを通して介護職仲間ができるかもしれません。
これは、実際そういう経験談も聞きました。
なかなか「職場の愚痴は職場の人には話せない」ってこともあると思いますが、同業の人となら共有できるものも、あるんじゃないでしょうか?
終わりに
この記事を見て、一人でも、介護福祉士取得することに前向きになってもらえたら嬉しいです。
それを取ろうと思ったり、受かったり落ちたり、それからの変化みたいな、ストーリーが大事なんだと思います。
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