はじめに
みなさんは「食事介助」と聞いて、どんな言葉やイメージが浮かびますか?
『食卓を囲む雰囲気が好き』
『とにかく忙しくて、楽しむなんてとても出来ない!』
『ムセさせてしまわないか不安で不安で…』
3大介助のひとつに数えられるくらい欠かせない業務ですから、
利用者さんとの大事なコミュニケーションの場であると同時に、
気をつけていないと身体や心を傷つけてしまうリスクもはらんでいます。
今回は、食事介助でやってしまいがちなNG行動を3つ取り上げて解説してみようと思います。
「利用者さんと同僚の赤ちゃんに食べさせながら自分も食べる」
っていうのが一番の思い出です。
他の人の食事間違って食べちゃいそうだね。
立ったまま介助する
教科書的には「利用者さんの隣に座って、同じ目線で行う」と教えられるようになっていますが、
ごく自然におこなっている介護職も少なくないのではないでしょうか?
立ったまま食事介助を行っている同僚に理由を聞いたことがあるのですが、
『ずっとそうしてきたから』
『忙しくて座っている暇がない』
『わざわざ座って行う利用がわからない』
といった意見が出ました。
立った状態で食事介助を行うリスクを考えてみましょう。
①威圧感がある
斜め上からスプーンやお箸を差し出されるとものすごい違和感を覚えます。
自分で食事を摂るときは下から食べ物を口に運ぶからでしょう。
僕は実際にやってもらったことがあるのですが、
圧迫感を感じると共に、単純に食べずらかったです。
②誤嚥の危険性が上がる
食べ物や飲み物が、食道ではなく誤って気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。
あごが上を向くと気管が開いた状態になり、誤嚥のリスクが高まります。
食事の際の正しい姿勢は、ややうつむき気味。
「あご下に指が3本入るくらい」の角度がベストとされています。
立って介助されると上を向きがちになってしまうので、重大なリスクと言えるでしょう。
こちらも実際やってもらったことがあるのですが、
コップの水を口に含んで、上を向いて飲み込むのは非常に怖かったです。
個人的に「立ったまま食事介助」は、
まるで餌付けしているようで不自然と感じます。
ペースが速すぎる
こちらは「具体的にこのくらい」という目安を示すことが難しいのですが。
「手伝ってもらって食べている」というより
「文字通り食べさせられている」と感じる食事介助を目にすることはあります。
立って食事介助する人に多い気が…
自分で介助していても、ペースが速すぎないか心配になることもあります。
自然なペースを意識するための工夫を考えてみましょう。
①飲み込んだらひと声かける
よく「食事介助中の声かけは大事」と言われますが、タイミングで悩んだことはありませんか?
口に食べ物入れた瞬間に話しかけられたらムセそう!
そこで、
食べ物を口に含んだら咀嚼と嚥下の様子を観察する(喉の上下運動など)
※この間は話しかけない!
↓
ひと声かける
という流れを繰り返します。
これなら、
安全に、会話を楽しみつつ、自然なペースで食事介助が行えるのではないでしょうか!
「食べる順番を選んでもらう」こともできます。
②自分も一緒に食べる
一方的に介助していると意識して「待ち」の時間を設けないといけないので、
時間に追われがちな介護職は自然とペースが上がってしまうのかも知れません。
僕の勤務している施設では、コロナ禍以前は介護職と利用者さんは一緒に食事を摂るようにしていました。
食卓を囲むことで雰囲気を共有できますし、自分も食べないといけないので
食事介助のペースも速すぎず行えると思います。
「理想的」と思う人もいれば、意見は様々かと思います。
人員配置や、施設のタイムスケール的に実現するのが難しいケースもあるかと思いますし、
コロナ禍によって食事の提供の仕方も変化しています。
ですが、「ごく普通の生活を介護によって実現する」という意味では、
この方法は理にかなっていると思っています。
いわゆる「介護丼」
人によっては全く聞いたことのない言葉かも知れません。
これが介護丼だ!
おいしくなかったです…(甘いお芋とトマトの組み合わせが特に厳しかった)
食事は普通[ご飯、汁物、おかず]のように提供されますが、
[ご飯+刻んだおかず]や[ご飯+汁物]、あるいは[ご飯+おかず+汁物]
と言った感じで、ぐちゃぐちゃに混ぜて提供する形を俗に「介護丼」と呼びます。
[ご飯+汁物]は「ねこまんま」って言わない?
ご飯とおかずを一緒に口に運ぶ人もいるよね。
あくまで本人が好きでそうしているなら良いのですが、「介護丼」は介護者の都合の結果と言えます。
問題点をいくつか挙げてみましょう。
①見た目が汚い
語るに落ちている気もしますが…
ぐちゃぐちゃに混ぜられたご飯を進んで食べたい人はいないと思います。
ましてや、食事介助を必要としている人に提供して良いものではありませんね。
食事には、栄養を摂取するだけでなく「味や見た目を楽しむ」という大事な要素があります。
そこも含めての食事介助が理想と言えますね。
②誤嚥の危険性が上がる
人が食べ物を飲み込む時には、気管に入らないようにするだけでなく、
「固体と液体を識別する」という機能が働いて誤嚥を防ぎます。
なので、固体と液体が混ざった状態の「介護丼」を嚥下の機能の衰えた人に食べさせるのは、
誤嚥のリスクを上げることになってしまいます。
見た目や倫理的な問題だけでなく、事故の原因になりうる
ということは理解していただきたいです。
おわりに、食事の楽しみって?
前項で少し触れましたが、食事にはたくさんの意義があります。
生理面:栄養を摂取して、生命や健康状態を維持する
心理面:空腹を満たし満足感を得る。味や盛り付けを楽しむ
社会面:食卓を囲むことでコミュニケーションを取り、人間関係を築く
食事介助=食べさせるだけじゃないってことね。
ちょっと難しくなっちゃったけど、僕らが食事を楽しむのと
同じようにお手伝いするのが理想です!
食事介助でNGとされていることには、きちんと理由があると伝われば嬉しいです。
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