介護職から利用者さんへの「ちゃんづけ」がNGな理由を、世界一周りくどく解説してみた。

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「子供扱いは虐待です!」

「はいはい〇〇ちゃん、トイレ行きますよ〜」

「危ないから座っててね」

「ちょっと待ってて!」

これらの会話はすべて介護現場で飛び交いがちなものです。
そして『不適切ケア』にあたるとして、改善すべきとされています。

ITじぞう

一番上はわかるけど、下のふたつもダメなんだ?

介護じぞう

正直ニュアンスとか関係値によるけど、好ましくはないとされると思う〜

不適切ケア全般に関しては過去の投稿を参照いただきたいのですが、
今回は「ちゃんづけ」に的を絞って、何がどのように不適切なのかを解説してみようと思います。

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「ちゃん」の成り立ちを紐解く

「ちゃん」という呼び名には、どういった意味や性質があるでしょうか。

辞書的な解釈

〘接尾〙 (接尾語「さん(様)」の変化したもの) 人名、または人を表わす名詞に付けて用いる。親しい間柄の人を呼ぶ時や、特に親しみを込めて呼ぶ時に用いる。

https://kotobank.jp/word/%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-567025

どの辞書でも、だいたいこのような意味合いで説明されています。
難しいですね。

要するに、

「ちゃん」←[親しみの壁]→「さん」→「さま」

みたいな感じで、手軽にフレンドリーみを演出できる呼び方、という理解で大丈夫かと思います。
自分から「ちゃんづけ」したり、芸名に使う人も多くいますね。

言葉の由来

そもそも「ちゃん」はどのように出来上がった表現なのでしょうか。

諸説ありますが、

「さま」が訛って「さん」になり、さらに訛って「ちゃん」になった

という説が有名です。
親しみを込めた言葉遊び、みたいなイメージでしょうか。

むかーしむかし、「偉い人のことは直接名前で呼んではいけない」というルールがありました。

そこで、「さま(様)」や「かた(方)」のような方向を意味する言葉や、
「との(殿)」のように居場所を意味する言葉で偉い人を呼ぶようになりました。

今でも、「〇〇さま」「この方」「〇〇殿」といった表現として残っていますね。

しかし「〇〇殿!」なんて、普段使いしづらいですよね?

そこで、もう少しカジュアルな言い換えとして「さん」が生まれたわけです。
年上にも年下にも、ほどほどの敬意と丁寧さが表現できる。
クレームもつきにくい、使い勝手の良い言葉です。

ここから「ちゃん」に至る道のりは、かの名作時代劇が説明してくれます。

そう、
『子連れ狼』で、大五郎が父親である拝一刀を呼ぶ際に使う言葉ですね。

フィクションだけの話ではなく、「ちゃん」は江戸時代に「父親の呼び名」として庶民に普及していました。
つまり幼児語=赤ちゃん言葉としての由来があるわけです。

それを受けて先ほどのフローを追加修正してみると、

「さま」→親しみで訛った→「さん」→幼児向けに訛った→「ちゃん」

となります。

現在「ちゃん」単独での使用は少ないと思いますが、
「〇〇ちゃん」の対象が年下(目下)メインである事に名残を感じますね。

以上、辞書的な解釈と言葉の由来をまとめると、

「ちゃんづけ」=親しみを込めた幼い印象の呼び方→主に、仲の良い同輩や目下の相手に用いる

という結論になりました。

介護現場での「ちゃんづけ」

さて、いい加減介護に話を戻しましょう。

利用者さんのほとんど※は、介護職にとって年上(目上)です。
尚且つ「お客さん」なので、敬意や丁寧さの伝わる言葉づかいが求められるケースがほとんどです。

いくら「親しみ」を表現したいからといって、「ちゃんづけ」は不適切な表現といえそうですね。

更に重要な点として挙げたいのが、

「ちゃんづけ」や「あだ名呼び」が、認知症の利用者さんに対して使われることが多い

ことです。

利用者さん本人から「俺のことは〇〇ちゃんと呼んで!」と言われたならまだしも、
本人の意思を確かめるのが困難な人に対しての「ちゃんづけ」は、やはり控えるべきでしょう。

※ 入職初日に「お茶はいかがですか?」と、ベテラン職員を利用者さんと勘違いして声かけしてはいけない

と言いつつ介護職をフォローしてみる

経験上、「ちゃんづけ」や「あだ名呼び」をする介護職は、悪意なくやっている場合が多いと感じます。

ITじぞう

っていうか、こんなめんどくさい事考えないだけでしょ?

介護じぞう

ぐぬぬ

多くの場合が、「親しみ」を表現した結果なのだと思います。

「ちゃんづけ」と並んで不適切ケアに挙げられる言葉遣いとして、
利用者さんに対する「かわいい」があります。

「かわいい」の語源は「顔映ゆし(かおはゆし)」とする説があります。

「顔映ゆし」は「気の毒」とか「不憫」みたいな、いわゆる憐憫の情を表した言葉です。

それが現在では「愛らしい」「愛おしい」という意味合いで使われています。

この意味の変遷には、

「不憫だ…!」→「放っておけないなぁ!気遣ってあげる!(はあと)」→「かわいい」

みたいなエモい展開があったとする説があり、個人的には割と好きです。

何が言いたいのか。

誤解を恐れずにいうと、
介護職から利用者さんへの「かわいい」は、
一歩先祖返りして、目の前の人をなんとかしてあげたい気持ちが強調されたものではないか。
と思うのです。

思ってるのと口に出すのとでは大きな違いがありますが
「ちゃんづけ」に親しみをこめて使っている人も、その慈しみは大事にしてほしいと思います。

結論?

僕の働いている施設でも「ちゃんづけ」が議論になったことがあります。

結局、安易に「ちゃんづけ」やあだ名呼びをする職員はごく少数だし、そうした人に限って全く反省しないのですが…。

「ダメなもんはダメ!」みたいに、判で押したような注意・説明ばかりだから「ちゃんづけ」は無くならないのではないか?
なんて考えた結果、こんな文章をダラダラと書いてしまいました。

(特に認知症介護において)
ガチガチな敬語が100%正解とも思わないし、タメ口でなくても親しみは表現できると思います。

「非言語コミュニケーションを大事にせよ!」
確かにそうなんですが。

「はじめにことばありき」
言葉を工夫するのも、介護にとって大事なことなんじゃないかな、と思います。

では

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