はじめに
歳をとれば身体のどこかしらに不調が出てくるもの。
そこで頼りになるのが「お薬」ですが、できれば飲みたくはないですよね。
僕が健康オタクだった時期には1日8種類くらいサプリを飲んでいましたが、結構大変でしたね。
それ健康を害してないか?
「錠剤を飲み込むのが苦痛」「粉薬や漢方が苦い」「なんとなく嫌」
理由は色々あると思いますが、服薬を拒否するお年寄りにお悩みの方は多いと思います。
しかし、
必ず飲まないとすぐに健康状態に影響が出るお薬や、飲むタイミングが決められているお薬
を拒否されては大変!
そこで今回は、「介護職が服薬拒否にどう対応しているか」というテーマでお話ししてみようと思います。
介護職の奥の手をいくつか紹介します!
服薬介助で大事なこと
具体的な方法を説明する前に、
介護職が服薬介助で大事にしている考えを紹介させてください。
納得して服用してもらうのが基本
「認知症で、理解を得ることが難しい」「大事なお薬をどうしても拒否されてしまう」
などの理由で、
お薬をゼリー、ジャムなどに混ぜて提供することはあります。
(本人の希望でお薬用のゼリーを使用することもあります)
厳密にいうと、
「処方通りの服薬をさせない」=「お薬をお薬として飲ませていない」
は虐待とされるケースもあります。
上記のような方法はあくまで最後の手段であって、日常的に行われているわけではないのです。
砕いてしまうと効果が薄れたり、副作用が出やすくなるお薬もあります。食べ物に混ぜるのはやはり極力避けるべきです。
量や形状を変えられないか
「量が多い」「飲みにくい味や形状」というのも拒否の原因になり得ます。
一口にお薬と言っても、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、内用液、シロップ、ゼリー、などなど
たくさんの形があります。
家族経由で、
「形状を変更できないか」「どうしても必要なお薬に絞る」
などを医師に相談する、という方法も取られます。
素人判断でお薬を飲ませない、というのは危険なので注意しましょう!
本人の感情を大事に
拒否の際の言葉として
「毒を飲ませようとしている!」「自分は病気じゃないから飲まない」「さっき飲んだ」
と言われてしまうことは、ままあります。
認知症になると、日常の色々なことがわからなく不安になってしまいます。
そんななか、知識としての記憶は薄れても感情としての記憶は残りやすいです。
介助者の「きちんと飲ませなくては!」という行動が、
かえって「薬は嫌!」という感情を残してしまい、不信感となって現れる。
という状況ができてしまうこともあるのです。
拒否に遭った際の対応としては、「ひとまず時間を置く」のが望ましいでしょう。
その後の具体的なアイデアを、次項で紹介していきます!
拒否を生まないためにも、普段から信頼関係を築くよう
心がけています。
介護職の裏ワザ4選を紹介!
では、実際に介護の現場で使っている方法を紹介します!
①誰かと交代する
服薬介助に限らず介助に同意が得られない場合、「対応する人を替える」が最も手っ取り早いです。
利用者さんとスタッフAのコミュニケーションがうまくいっていない。
↓
スタッフBが第三者の体で(重要)「どうしましたか?」等声かけする。
こんな感じでうまーく交代するとスムーズに介助をさせてもらえることは多いです。
そうした場合、利用者さんはホッとした表情をされるので、
「この人は助けてくれる!」と思っていただけているのでしょう。
『救世主効果』と呼んでいます(僕が)。
いや、家庭じゃコレできないんじゃないの?
「普段お薬を渡さない人」に代わってもらうのがポイントです!
介助者以外のご家族、デイサービスの送迎スタッフ、仲の良いご近所さん
などに代わってもらう。
もしくは、ケアマネや医師、訪問看護師に服薬を勧めてもらう
といった方法が考えられます。
うまくいかない時ほど誰かにお願いしちゃうのが良いです。
②一緒に服薬する
「みんなでやれば怖くない」というわけですね笑
普段お薬飲まない方は、ラムネやサプリメント等でも代用できます。
大事なのは、本人の「飲みたくない」という気持ちを想像すること。
『こんなにたくさん飲むんじゃ大変だね』
『苦いのは嫌だよね』
など、気持ちを共有できるような言葉をかけてあげてください。
互いの薬自慢(?)を話していたらすんなり飲んでくれた、
なんてこともありました。
③薬の効用を説明する
前項でもお話した通り、認知症になると色々なことがわからなく不安になってしまいます。
だからこそ「きちんと納得したい」と、より一層感じるのではないでしょうか?
「自分にとって必要なもの」と理解してもらうために、
・飲むと、何が良くなるのか
・その人が健康になることで、何が良いのか
といった観点でお話ししてみたり、
『○○先生が処方してくれたよく効くお薬ですよ』
みたいに、主治医の名前を出しても良いでしょう。
聴診器を首から下げて説明したら納得してくれた、
なんてことも…
名前を読み上げながら手渡す
こちらはあくまで「肌感覚でうまくいくことが多い」方法になるのですが…
『〇〇さん、夕食後のお薬、×錠ありますね。』
と確認しながら手渡すとスムーズにいくことがあります。
ポイントは、本人にも復唱してもらうことです。
このひと工夫が、「自分に必要なもの」という意識を持たせてくれているのでしょうか?
ちなみに、
本人と介護者お互いにとっての服薬チェックになる
というメリットもあります。
介護職の皆さんからのご意見が欲しいです笑
おわりに
ここまで読んでいただいた方は、こう思ったのではないでしょうか?
『え、裏ワザとかいうから期待してたのに…そんなこと?』
すみません、そんなことです笑
介護職の仕事は、近寄って見てみると「普通のこと」が多いです。
その代わり、
普段申し出を断られることが多いので(!)、ダメだった時の引き出しはいっぱい持っています。
お薬はとても大事なものです。
ですが、「絶対飲ませなければ!」という思いがお互いプレッシャーになり、
うまくいかなかったりしてしまいます。
そんな時、
「少し時間を置いてみようか」「家族の誰々にお願いしてみようか」「このお薬だけは必要って伝えよう」
などなど、
奥の手がいくつかあれば、心にゆとりを持って介護することができるはずです。
これからも必殺技を増やすべく努めてまいります!
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