どちらも頻出
「失行」と「失認」。
介護現場で耳にする機会は少ない言葉ですが、実は介護福祉士筆記試験では超頻出ワードです。
今回は、
・「失行」と「失認」の違い
・それぞれの派生系
を、カンタンな覚え方と一緒に解説していきます!

介福試験を受験される方はもちろん、
介護の仕事のヒントにもなるはずです!
「失行」と「失認」の違い
まずは両者を比べて、超ザックリと違いを覚えてみましょう。
失行
失行とは、
「運動機能に問題がないにもかかわらず、意図的な動作や行動が適切に行えなくなる状態」
のことを言います。
例えば…
・スプーンやハサミなど、道具を上手く使うことができない。
・手を振るなど、身振り手振りやジェスチャーを行うことができない。
・服のボタンを上手く留められない/シャツの前後が分からなくなってしまう
などが挙げられます。



共通点は、「行動に関すること」って感じだね。



そうそう。
+「身体を動かす機能は正常なのに」って前置きがポイントなんだ。
「失行」を一言で言い表すとしたら、「上手に行動できない」といった感じでしょうか。
失認
対して失認とは、
「感覚器官自体には異常がないにもかかわらず、感覚情報(視覚、聴覚、触覚など)を正しく認識できなくなる状態」
のことを言います。
例えば…
・物が見えているが、それが何であるのか(ex.ペンとか犬とか)わからない。
・犬の鳴き声を聞いても、犬が吠えているのだと認識できない。
・物に触れても(ex.100円玉や家の鍵)、それが何なのか把握できない。
などが挙げられます。



…なんだか僕には想像できないんだけど。



健常者からしたら、なかなか理解できない。
だからこそ介護職にとっては大事なんだと思う。



なるほどねぇ。
失認の共通点は「認識できない」って感じかな!
「失認」を一言で言い表すとしたら、「正しく認識できない」といった感じでしょうか。
両者の違いをザックリまとめてみましょう。
「失行」=「上手に行動できない」 ・・・対象は行動
「失認」=「正しく認識できない」 ・・・対象は認識
何となく理解できたところで、もう少し両者を深掘りしてみましょう。
失行の種類
失行とは「上手に行動できない」 状態を指す言葉、対象となるのは行動でした。
よって、失行はさまざまな行動によって分類されます。


「構成」 →「モノ」
「観念」 →「道具や手順」
「観念運動」→「身振り手振り」
この3つは言葉の意味から推測しにくいので、試験で狙い目になるかと思います!
失認の種類
失行とは「正しく認識できない」 状態を指す言葉、対象となるのは認識でした。
失行と同様に、失認もいくつかの種類に分類されます。


「視覚」や「聴覚」のように五感を示す言葉が入っているものは、文字通り
『五感の機能は正常(視覚だったら「見る」)だけど、それが何かを正しく認識できない』
と覚えやすいですね。
「相貌」は「顔のかたち」という意味なので、
『顔は見えているけど、それが誰なのかを認識できない』
となり、こちらも言葉の意味から推測することができるので、試験に出ても大丈夫かな?と思います。



最後の「左半側空間無視」だけ異質だね。



そうなんだ。
そして試験にもマァよく出るので、少し詳しく解説します!
左半側空間無視


「左反側」は「反対側である左側」といった意味に訳することができます。
何の「反対側」かというと、「脳の損傷部位」です。
右脳を損傷→「反対側である左側」の「空間」を「無視」してしまう(=認識できない)
といった感じで成り立った言葉なのかな?と思います。



なんか自信なさげな言い方。
正確な語源は分からなかったなんですけど、たぶん合ってるんじゃないかと!汗
左半側空間無視のポイントとしては、「見えていないわけではない」という点です。
よって、視覚障害の人(半盲)への対応とはニュアンスが異なります。
視覚障害(半盲) =「見えていない」→その人の目の代わりになるような対応が必要
左反側空間無視=「認識できない」→左側に対して注意を促すような対応が必要
試しに過去問を解いてみましょう。


答え合わせはこんな感じ!
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左半側空間無視の出題ポイントは
・失認(対象は認識)のひとつ
・右脳の損傷→反対の左側の空間を認識できない
・認識できない→本人は無自覚
・視覚障害(半盲)とは対応の仕方が違う
・左側への注意を促すような対応が必要
こんな感じでしょうか!



とにかく左半側空間無視→頻出ワードですので、↑この表だけでも覚えていってくださいね!
まとめ
・「失行」を超カンタンに!→「上手に行動できない」
・「失認」を超カンタンに!→「正しく認識できない」
・「〇〇失行」=『身体の機能は正常だけど、〇〇を上手にできない』
・「△△失認」=『△△(五感)は正常だけど、それが何なのか認識できない』
・失認のひとつ、左半側空間無視は試験でも頻出!過去問でしっかり勉強!



ちなみに…
右反側空間無視は、「あるにはあるが、レアケース」だそうです!
動画でも解説しています!
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